COLUMNコラム
まじめ
沈まないトランク。
ルイ・ヴィトンの
シンボリックストーリー。
こんにちは。
曽我です。
これまでストーリーブランディングのお話を続けてきましたので
今回もそのお話を。
みなさんご存知、「ルイ・ヴィトン」。
米経済誌フォーブスが発表している
「2016年世界でもっとも価値のあるブランドTOP100」では
ルイ・ヴィトンは全体で19位(1位はアップル、6位にトヨタ)。
ファッションブランドの中ではナイキに次いで2位です。(2015年は1位)
まさにブランドの代名詞といっても過言ではないルイ・ヴィトン。
今回はそんなルイ・ヴィトンのブランドを象徴する
ひとつのシンボリックストーリーをご紹介します。
タイタニックに積まれていた
ルイ・ヴィトンのトランク
20世紀初頭、世界最高級の豪華客船「タイタニック」は
多くのセレブリティ(ローズみたいな人)を乗せ処女航海にでました。
そして、1912年深夜、氷山に激突。
その後、多くの犠牲者とともに海に沈みました。
話はそれますが、タイタニックの映画で一番泣いたところは
沈みゆくなか、演奏隊が最後まで演奏を続ける所ですかね。。
その悲惨な事故の際に、乗客の荷物の中にあったルイ・ヴィトンの
トランクは沈まず、それにつかまって助かった乗客がいたというのです。
また、沈没から数十年たって、船体に取り残されたルイ・ヴィトンの
トランクを引き上げてみると、中にはまったく水が入っておらず、
荷物は当時の姿のままだった・・・というのです。
この物語はルイ・ヴィトンという企業の強みを雄弁に物語っています。
まず、顧客。
最高級の豪華客船であるタイタニックに積まれていたことから
ルイ・ヴィトンは当時からセレブが支持していたブランドであるということがわかります。
次に、品質。
「沈まなかった」「トランクに水がまったく入らなかった」という話は
ルイ・ヴィトンが誇る高い品質と技術を象徴しています。
最後に、先進性。
ルイ・ヴィトンが創業した1854年当時は、トランクは馬車用の丸型が主流でした。
その時代に、これからは鉄道や船舶が旅の主役になるといち早く察知し、
平積みできる四角いトランクをルイ・ヴィトンが生み出したと言われています。
そのため、水に浮くように設計されたとも言われています。
また、現在でもルイ・ヴィトンの売上の大部分をこのような
「定番ライン」が占めているそうです。
顧客、品質、先進性。
この物語からルイ・ヴィトンの強みがいきいきと伝わり
他社のトランクとは違って見えてくる気がします。
そして、誰かに伝えたくなります。
これがストーリーの力であり、
このようなシンボリック・ストーリーをもっと戦略的に使うことが
ストーリーブランディングと言えます。
前にも書きましたがシンボリックストーリーの要件は
①企業の強みを象徴している
②企業の戦略方針に合致している
③思わず人に話したくなる
です。
ビジネスモデルが同質化し、ビジュアルに偏重したブランディングは
昔のように大きなインパクトを持たなくなってきてしまっています。
一方で、消費者がSNSという個人のメディアを持ち、
自らが情報を発信できるようになった今、
その企業、人、商品にしかないストーリーによるブランディングは
まさに今求められているブランディング手法だと思います。